英語の教科書と講義

札幌農学校第五年報 (復刻)

北海道大学図書刊行会 1976年  (書庫・和書 378.524/SAP/5)

4期生の英語を担当したサマーズは学生たちの英語力の不足について指摘し、英語学習においては名文を繰り返すことが重要かつ効果的であるとした。各講義での教科書と実践について、「札幌農学校第五年報」において以下のように報告している。

– Reading –
Modern Europe : a school history / by John Lord
1875年(札幌農学校文庫 940/L88)
学生に読ませ、発音の間違いを直した。ところどころ、不適切な文法やよい文章に解説を加えた。

– Composition –
“Little work of Profr. Nichol of Glasgow” (詳細不明)
コメントを挟みながら口述筆記をさせた。口述筆記は効果的であったとして、学生の上達を報告している。

– Rhetoric –
Elements of Rhetoric / by G.Flon
English composition of rhetoric / by Alexander Bain
(いずれも附属図書館に現存しない)
論文や文学的な文章の記述ができるようになるために、文章の書き取りと内容理解をさせた。内容に触れること自体も重要とした。

– Elocution –
“Some good passage from an English classical author”
教科書は2で紹介したUnderwoodによる英文学集と推測される。名文を繰り返すことで英語のスタイルに慣れ、発音がよくなり、英語という言語の本質 を掴むことを目指した。 4期生の武信由太郎によると、Goldsmith, Gray, Macaulayなどの作品をさかんに暗誦させられたとのことである。