農学校のカリキュラム

札幌農学校のカリキュラム

初期の札幌農学校では、外国人教師が講義を行ったため、授業はほとんど英語で行われた。その後は、外国人教師を引き継いで、第1、2期生を中心とする卒業生らが教師となり、日本語と英語による講義を行った。

ここでは初期のカリキュラムの一例として1期生(佐藤昌介)の、また日本人教師が多数となった頃のカリキュラムの一例として13期生(高岡熊雄)の履修表を掲げる。

初期の英語に関すると思われる授業としては、English 英語(Composition 英作文, Elocution 演説法)のほか、History of English Literature 英文学、Original Declamation 弁論、Debate 討議 などが講義された。

  •  カリキュラム・科目比較で使用される科目名や訳語は、外国人教師が開拓使に提出した英文の報告書 ”Annual report of Sapporo Agricultural College” とそれを開拓使が訳したもの「札幌農学校年報」を基に作成されたため、科目名や訳語が統一されていない。また、報告書に記載されても実際には開講されな かった科目もあるため、カリキュラム・科目比較に齟齬が生じている。
  • カリキュラムの担当教官欄において、明確な資料はないが教官名をほぼ断定できる場合は[ ]内に記載。推測の域を出ない場合は空欄となっている。

札幌農学校初期の本科と予科の科目比較

札幌農学校には、本科を目指す予備教育機関として予科が設置された。

12歳以上で、ある程度の国語力があることのほかに、アルファベットやアラビア数字を読み書きし、簡単なつづりを解し得ることが入学条件だった。

しかし、開校から1881年7月までに予科への入学を確認できた79名のうち、39名が中途退学しており、落第者も多かった。開校から5年の間に予科の課程を終え本科に進学したものはわずか12名という状況であり、初期の予科はその目的を果たせていなかった。

初期の農学校の本科生にとって英語は、それ自体を科目として学ぶだけではなく、ほかの科目を学ぶ手段でもあり、高度な英語力が要求された。対して、予科のカリキュラムは、科目としての英語の授業が多く、基礎的な内容になっている。